排水管更生工事(ライニング)の手順とは?高圧洗浄から樹脂の硬化まで、現場で行われる作業の流れ
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築年数が30年を超えたビルや賃貸マンションでは、排水管の老朽化による漏水や詰まりが現実的なリスクになってきます。とはいえ、壁や床に隠れた配管をすべて新品に交換するとなれば、解体と復旧を含む大がかりな工事になり、費用も工期も膨らみます。そこで選択肢に挙がるのが、既存の排水管を活かしたまま内側に新しい管をつくる「更生工事(ライニング工事)」です。
本記事では、更生工事の現場で実際に何が行われているのか、高圧洗浄から樹脂の硬化までの標準的な作業手順を紹介します。業者から工法の説明を受ける前に流れを押さえておくと、見積書や工程表の内容がぐっと理解しやすくなります。
排水管が水漏れする前に知る「更生」という選択肢
排水管の改修には、大きく分けて2つの方法があります。既存の配管を撤去して新しい管に取り替える「更新工事」と、既存の配管をそのまま使い、内部を清掃・研磨したうえで樹脂を塗り固めて再生させる「更生工事」です。
更新工事は配管そのものが新品になるため耐久性の面では確実ですが、壁・床・天井の解体と復旧を伴うケースが多く、工期が長く費用も高額になりがちです。一方の更生工事は、配管の内側だけで作業が完結するため解体がほとんど不要で、工期・費用ともに抑えられます。更生工事によって期待できる延命期間は、使用する材料や工法にもよりますが、おおむね10年〜15年程度が目安です。
| 項目 | 更生工事(ライニング) | 更新工事(交換) |
|---|---|---|
| 工事の内容 | 既存管の内側を研磨し、樹脂で新しい管を形成 | 既存管を撤去し、新しい配管に交換 |
| 壁・床の解体 | ほぼ不要 | 必要になるケースが多い |
| 延命の目安 | 10年〜15年程度 | 配管の耐用年数分(数十年単位) |
注意しておきたいのは、更生工事はあくまで「延命」であり、将来的には更新工事が必要になる点です。また、腐食が進みすぎて管に強度が残っていない場合は、樹脂を塗る土台がもたないため更生工事自体が採用できないこともあります。だからこそ、水漏れが起きてからではなく、内視鏡調査などで配管の状態を把握できるうちに検討しておくことに意味があります。
管内部の汚れを取り除く「高圧洗浄・研磨」の工程

更生工事の当日は、いきなり樹脂を塗るわけではありません。最初に行われるのが、管内部の高圧洗浄と研磨です。長年使われた排水管の内側には、油汚れや雑排水の付着物に加え、鋼管であれば錆こぶ(管の内側に盛り上がった錆の塊)がこびりついています。
まず高圧洗浄で管内の汚れを洗い流し、続いて研磨材を空気の力で管内に流し込み、内壁の錆や付着物を削り落としていきます。削りかすと研磨材は吸引機で回収されるため、居室内が汚れることは基本的にありません。
この研磨の仕上がりが、更生工事の品質を大きく左右します。錆が残ったままでは管の内面が凸凹のままとなり、上から樹脂を塗っても密着せず、剥がれの原因になるためです。工程写真や管内カメラの映像で、研磨後の状態を確認させてもらえる業者かどうかは、発注時の判断材料のひとつになります。
樹脂で膜を作る「ライニング」の作業

研磨で管の内面が金属の地肌に近い状態まで整ったら、いよいよライニングの工程です。一般的なのは、接着性と耐久性に優れたエポキシ樹脂を管内に送り込み、空気の流れを使って内壁全体にムラなく塗布していく方法です。排水口や配管の端から樹脂を吸引・圧送することで、人が入れない細い管の内側にも、継ぎ目のない樹脂の膜が形成されます。
塗布が終わると、管内カメラで塗り残しや塗膜の状態を確認します。この検査映像は施工品質の記録そのものですから、完了報告書に管内カメラの画像や動画が含まれているかは事前に確認しておきたいところです。
こうして既存の排水管の内側に、樹脂による「新しい管」がもう一本つくられます。錆の進行が止まり、内面がなめらかになることで排水の流れも改善されるため、詰まりの予防にもつながります。
施工後の排水制限は「樹脂が固まる時間」で決まる
ライニングした樹脂は、塗った直後はまだ柔らかい状態です。完全に硬化するまでには、工法や気温にもよりますが6時間〜12時間程度の養生時間が必要とされます。この間に水を流してしまうと、固まる前の樹脂が流されて塗膜に欠損が生じ、工事そのものが台無しになりかねません。
そのため施工当日は、対象系統の排水が朝から夕方以降まで使用できなくなります。キッチン・洗面・浴室・洗濯機など、生活排水のほぼすべてに関わる制限ですから、入居者やテナントへの事前周知は欠かせません。案内文の配布だけでなく、在宅が多い曜日を避けた工程調整や、当日の在宅確認まで含めて、管理会社・施工会社とすり合わせておくとトラブルを避けられます。
排水管の更生工事は、1系統あたり1日〜数日で完了する比較的短期の工事ですが、その品質は「どれだけ丁寧に研磨したか」「硬化までしっかり水を止められたか」という地道な工程管理に支えられています。工法の名前だけでなく、こうした手順の中身を理解しておくことが、見積比較や業者選定の確かな物差しになります。