防水層の劣化を見逃さないために
コラム
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防水のトラブルは、表面がきれいでも「中だけ先にダメになっていた」というケースがよくあります。
現場でも、見た瞬間は「何も問題なさそうだな」と思っていたのに、踏んだら“プシュッ”と空気が動いて、ふくれが隠れていた…なんて場面は珍しくありません。
早期に気づければ補修は小さく済みますし、建物へのダメージも抑えられます。
ここでは、日常点検で押さえておきたい“劣化の気配”を、実際の現場感とあわせて整理します。
1. ひび割れ(クラック)
紫外線や温度差で防水層が硬くなると、細いひびが入りやすくなります。
先日、点検中に「線みたいな跡があるけど、ただの汚れかな?」と言われた場所を拭いてみたら、実はクラックだった…ということもありました。
一見たいしたことなくても、水が入り込むルートになると一気に劣化が進みます。
2. ふくれ(膨れ)
下地に残った湿気が膨張すると、防水層がポコッと盛り上がります。
現場では、踏んだときに“ぷにっ”とした感触で気づくことがよくあります。
これが見つかると「内部、かなり湿気溜まってそうだな」と判断します。
すぐ漏水するわけではないですが、密着が落ちているサインです。
3. 端部のめくれ・浮き
シート防水で特に出やすい症状です。
風が強い地域では、端部がほんの少しめくれただけで、一晩明けたら“パカッ”と広がっていた…というケースもあります。
端だけだからと油断すると広がるスピードが早いので注意が必要です。
4. トップコートの摩耗・色あせ
露出防水では、トップコートが防水層の“日焼け止め”の役割を担っています。
倉庫屋上の点検で、半分だけ色が抜けていたことがあり「ここだけ日差しが強いのかな?」と話していたら、実はその部分だけ足場が置かれていて擦れが起きていた、ということもありました。
色が抜けてくると、紫外線のダメージが本体に直接行くようになります。
5. 排水口まわりの劣化・詰まり
排水口まわりは、防水のトラブルが最も起きやすい場所です。
清掃が数年されていなかった現場では、落ち葉がぎっしり詰まり“ミニ池”みたいになっていたことがあり、案の定その周辺の防水が一番傷んでいました。
水が集まるところは、必然的に負荷も大きくなります。
6. 水はけの悪さ・コケや藻の発生
水が溜まりやすい場所では、コケがうっすら生えてくることがあります。
バルコニー点検で「最近すべる感じがする」と言われた現場では、わずかに勾配が落ちており、水が抜け切らずコケが繁殖していました。
同じ場所で繰り返すなら、根本調査をした方が確実です。
“そろそろ限界かもしれない”と判断すべきサイン
以下の症状が複数重なると、部分補修ではカバーしきれないことが増えてきます。
- 手のひらサイズ以上のふくれが複数
- ひび割れが網目状に広がっている
- 歩くと沈むような感触がある
- 室内天井・バルコニー裏に漏水跡がある
- 明確な破断が見える
現場でも、こういった状態が揃うと「もう更新の段階だな」という判断になります。
防水層の寿命と、更新の目安
マンションの適切な維持管理のために国土交通省が策定している「長期修繕計画作成ガイドライン」では、屋上防水の更新目安は10〜15年程度と示されています。
ただし、実際の現場では環境や施工仕様で寿命は大きく変わります。
日当たりの強い屋上では 10 年を待たずに劣化が目立ち始めたこともありました。
数字はあくまで目安で、サインの有無と合わせて判断するのが確実です。
まとめ:小さな違和感が、大きな劣化の入り口になる
防水の劣化は、ふくれ・ひび割れ・浮き・排水不良など、よく見れば分かる変化として現れます。
現場でも「最初は気のせいかと思った」という一言から点検が始まり、結果として早期発見につながったケースがいくつもあります。
屋上やバルコニーは日常でも見やすい場所です。
気になった瞬間に確認することが、建物を長く守る一番確実な方法です。